阿瀬税理士事務所

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コロナ禍で検定試験を辞退した社員への源泉徴収の要否 税務通信3647号  2021年03月22日

3/21WEBに掲載されました。

当社は,渉外社員に対して,ある資格の取得を勧めており,その資格の検定を団体扱いで申請し受検手数料を当社で負担する支援をしています。この支援額については,当該資格が無くても業務が可能であることから,現物給与と判断して源泉徴収をしています。

コロナ禍ではない平常時においては,検定試験を社員の自己都合で辞退した場合には,受検申請は取消不可で受検手数料の返金はないものであり,また,社員にとって受験の機会を得たことに他ならないとの理由から,受験をした場合と同様に経済的利益があるものとして,受検手数料相当額につき源泉徴収を行っていました。なお,会社都合により,欠席を命ずるケースについては,源泉徴収の対象外としてきました。

今般,緊急事態宣言の発令に伴い,会社として,対象地域における出張等の禁止措置をとったことから,検定試験の受験のための出張もこの措置の対象となりますが,この検定試験は宣言下においても原則実施予定であることから,対象地域の社員について一律禁止とするのではなく,希望者については受験をさせたいと考えています。

この場合,検定試験の受験を辞退した者について,給与として源泉徴収が必要でしょうか。

会社命令として対象地域の社員に対し一律に禁止をするのであれば源泉徴収は不要であるものの,辞退を社員が選択できることから,緊急事態宣言という状況下であっても従来と同様に,源泉徴収が必要との意見があります。