WEB版に解説記事として掲載されました。以下は、「はじめに」の部分です。
はじめに
令和3年度の税制改正において,短期退職手当等に係る退職所得の金額の算定上,いわゆる2分の1課税が行われる範囲が制限され,令和4年分以後の所得税(源泉徴収に関しては令和4年1月1日以後に支払うべき退職手当等)について適用されることとされました。
退職所得課税における2分の1課税の制限は,特定役員退職手当等について既に行われているところですが,短期退職手当等が新たに加わることにより,退職所得の金額の計算方法などが複雑化しています。
また,令和4年4月からの東京証券取引所の新しい市場区分への対応として,企業においては,社外取締役の占める割合を高めるべく取締役を役員以外の執行役員とするなどの検討もされているようであり,役員退職慰労金等の支給を受けた後に,役員以外の執行役員として勤続年数5年以下で退職手当等の支給を受ける場合には,短期退職手当等に該当し,今回の改正の対象になることも考えられます。
そこで本稿では,短期退職手当等に関する課税関係の概要と押さえておきたいポイントなどを確認したいと思います。